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臨床
肺高血圧症

肺高血圧症とは

全身から心臓に戻ってきた静脈血は、肺動脈を通じて肺に送られ、肺で酸素を取り込んだ後に肺静脈を経て心臓に戻り、再び全身に送られます。肺高血圧症とは、種々の原因により肺動脈の圧力が異常に上昇する状態(平均肺動脈圧 25mmHgより高値)をいいます。肺高血圧症では、血管収縮・血管壁の肥厚と狭窄・血栓付着などの理由により、肺動脈そのものは狭く硬くなるため、肺を循環する血流は悪くなります。肺動脈の圧力が上昇するのは、心臓から出る血液の量を一定以上に保つ必要性があるためです。しかし、心臓が努力してバランスを保つ状態も、時間の経過とともに困難な状況になります。

主な症状

自覚症状

労作時息切れ、易疲労感・胸痛・失神、動悸・咳嗽・喀血、右心不全を伴うと:腹部膨満感・食欲不振、下腿浮腫

身体所見

IIp亢進、傍胸骨拍動、胸骨左縁下部での汎収縮期雑音、胸骨左縁での拡張早期雑音、右心性IV音、右心不全を伴うと:頸静脈怒張、右心性III音、肝腫大、腹水

肺高血圧症の分類

再改訂版肺高血圧症臨床分類(ニース分類[2013年])

診断・検査

肺高血圧症の診断のためには、様々な検査が行われます。採血・心電図・胸部レントゲン検査といった一般的な検査の他に、心エコー検査・肺血流および換気シンチグラム、造影CT検査当が行われ、最終的には心臓カテーテル検査により確定診断・分類、重症度や治療効果の判定が行われます。また、運動時の指標の改善が予後の改善と関連していたため、非侵襲的な指標として、6分間歩行試験・心肺運動負荷試験も行われます。

肺高血圧症の診断手順

出典:肺高血圧症治療ガイドライン(2017年改訂版)

治療

肺の血管を拡げて血流を改善させる薬剤を使用します。補助的な治療法として利尿薬、酸素療法が使用されます。内科治療に抵抗性の場合、肺移植も適応となります。 また、慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対しては、血栓内膜摘除術・肺動脈バルーン形成術も行われます。

肺動脈性肺高血圧症

肺高血圧症の分類表の中で、第1群に相当するものです。その中でも特発性肺動脈性肺高血圧症および遺伝性肺動脈性肺高血圧症は、原因と考えられる基礎疾患のない高度の肺高血圧を呈する疾患です。発症頻度は100万人に1〜2人で、治療を行わなかった場合、かつては診断からの平均生存期間が2.8年と、非常に予後不良でした。現在はエポプロステノール持続静注療法が行われる他、各種の経口治療薬が開発され、生命予後はこの10数年間で格段に改善しました。
第1群の中で最も患者数が多いのは、結合組織病に伴う肺動脈性肺高血圧症です。発症の頻度は混合性結合組織病で7.0%, 強皮症で5.0%, 全身性エリテマトーデスで1.7%です(1988年「厚生省特定疾患皮膚・結合組織調査研究班混合性結合組織病分科会」)。また、結合組織病に伴う肺動脈性肺高血圧症は、全身の合併症の程度により第2, 3群などの左心疾患・肺疾患の要素も有することがあり、治療薬の選択は慎重に決定されます。基本的には、肺血管拡張薬が用いられますが、原疾患治療のためステロイドおよび免疫抑制薬が使用され、それらが奏功した場合、肺血管拡張薬を使用しなくて済む場合もあります。

慢性血栓塞栓性肺高血圧症

肺動脈に残存する血栓が器質化し、そのために肺動脈の狭窄や閉塞を起こし、肺血管抵抗が上昇して肺高血圧症を呈するものです。保険承認されているリオシグアトを始めとした肺血管拡張薬も用いられますが、肺動脈から器質化血栓を除くために、外科的に肺動脈内膜摘除術およびバルーン肺動脈形成術が行われます。これらによる治療後も残存する肺高血圧、末梢の病変でインターベンションの効果が限定的な症例等に対しては、術後も肺血管拡張薬が用いられます。

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