筑波大学医学医療系・分子遺伝疫学研究室は「ヒトゲノム多様性と疾患」をキーワードとして研究に取り組んでいます。

自己免疫疾患

HLA遺伝子群多様性と疾患との関連

HLAは、T細胞受容体に対して抗原ペプチドを提示する分子であるとともに、KIR (killer-cell immunoglobulin-like receptor)や一部のLILR (leukocyte immunoglobulin-like receptor)のリガンドとしても機能します。

HLAには、classical HLAと呼ばれるHLA-A, B, C, DR, DQ, DPに加え、E, F, G, DM, DOなど、多数の遺伝子から構成されている(polygenic)とともに、各遺伝子座において、多いものでは2000種類以上におよぶ、顕著な多型性が見られます(polymorphic)。これらの遺伝子のすべてが、染色体6p21.3のMHC領域にコードされています。

HLAは、免疫疾患を始めとして、多数の疾患の感受性に関連し、しかも、一部の疾患では、かなり強い関連を示します。しかし、そのような疾患でも、大部分は、関連の分子機構は未解明です。当研究室では、膠原病・リウマチのHLAに関連して、以下のような成果を発表しています。

1) HLA-B27陰性強直性脊椎炎におけるHLA-B39の関連と、
HLA-B27との結合抗原ペプチドの共通性

HLA-B27は、強直性脊椎炎、反応性関節炎との強い関連で知られています。この発見は1973年に報告されましたが、その分子機構は、いまだに解明されていません。私たちは、日本人集団における強直性脊椎炎とHLA-B27の関連を確認するとともに、B27陰性の強直性脊椎炎において、HLA-B39が増加していることを見いだしました。(Yamaguchi et al., Arthritis Rheum 1995;38:1672-7 外部リンク )

また、HLA-B39は、結合する抗原ペプチドにHLA-B27と類似性が予測されていましたが、私たちは、実験的手法により、実際に結合する抗原ペプチドに共通性が存在することを示しました。
(Sobao et al., Arthritis Rheum 1999;42:175-81 外部リンク )

2) 日本人顕微鏡的多発血管炎、MPO-ANCA陽性血管炎における
HLA-DRB1*09:01-DQB1*03:03ハプロタイプの関連

抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎(AAV)は、臨床的に、顕微鏡的多発血管炎(MPA)、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)に、また、ANCAの特異性により、MPO-ANCA陽性群、
PR3-ANCA陽性群に分類されます。AAVの疫学には、ヨーロッパ系集団と日本人集団に顕著な差が存在し、前者ではGPA、PR3-ANCA陽性群が、後者ではMPA、MPO-ANCA陽性群が多くを占めることが知られていますが、その原因は明らかになっていません。

私たちは、多施設共同研究により、日本人集団においてMPA、MPO-ANCA陽性AAVが
HLA-DRB1*09:01-DQB1*03:03ハプロタイプと有意に関連することを見いだしました。興味深いことに、このハプロタイプは、アジア系集団には高頻度に存在しますが、ヨーロッパ系集団、アフリカ系集団にはほとんど見られません。このような集団の遺伝的背景の違いが、AAVの病型の違いの一因となっている可能性も考えられます。
(Tsuchiya et al., J Rheumatol 2003;30:1534-40 外部リンク ,
Tsuchiya et al., Genes Immun. 2006;7:81-4 外部リンク )

3) 関節リウマチにおける薬剤誘発性間質性肺障害とHLA-A*31:01の関連

関節リウマチの治療では、時に、薬剤誘発性間質性肺障害が出現します。これを予測しうるバイオマーカーを見つけることができれば、RAの個別化医療に貢献することができます。私たちは、国立病院機構相模原病院臨床研究センター當間部長らとの共同研究により、HLA-A*31:01 と薬剤誘発性間質性肺障害の関連を示唆する知見を得ました。(Furukawa et al., Ann Rheum Dis 2013;72:153-5 外部リンク )
現在、さらに検証を進めています。

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Key Words

ヒトゲノム、遺伝子多型、
人類遺伝、自己免疫疾患、
膠原病、
全身性エリテマトーデス(SLE)、
関節リウマチ、
ANCA関連血管炎、
全身性強皮症、病因解明、
個別化医療

医学医療系 登録研究グループ (リサーチグループ)

ゲノム医科学 リサーチユニッ卜

難治性免疫疾患・アレルギー リサーチユニッ卜

当研究室メンバーは、筑波大学において認定された「ゲノム医科学リサーチユニッ卜
難治性免疫疾患・アレルギーリサーチユニッ卜」の構成員です。

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