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筑波大学医学医療系
遺伝子制御学グループ
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細胞の初期化における遺伝子発現調節機構の解析と実用的な
分化制御方法の開発

人工多能性幹細胞(iPS細胞)は、体細胞に複数の遺伝子を導入して初期化することによって誘導される多能性幹細胞であり、再生医療をはじめとした様々な分野への応用が期待されています。しかし、iPS細胞が誘導されるメカニズムはまだ不明な部分が多く、これらの詳細が明らかになると、より効率の良いiPS細胞誘導が可能になり、幹細胞の多能性維持や分化制御に関しても、多くの知見が得られることが期待されます。また、従来のiPS細胞誘導方法では、4つの初期化誘導遺伝子(Oct4、Sox2、Klf4、c-myc)を別々に搭載したレトロウイルスベクターを多重感染させる方法が主に用いられますが、染色体内に残存した誘導遺伝子の発現量をコントロールできない等のために、誘導されてくるiPS細胞の性質がばらつくことが、効率の良いiPS細胞誘導やiPS細胞誘導機構の解析の妨げになっています。

それに対して、我々が開発した「持続発現型RNAベクター(SeVdpベクター)」は、染色体に挿入されずに、多遺伝子を同時に持続発現させることができます。そして、このベクターを用いて上記4遺伝子を体細胞に導入すると、ベクターゲノムを全く含まない安全なiPS細胞が、従来の方法よりも非常に効率良く誘導できることを明らかにしています(Nishimura, K. et al. 2011)。また、このような我々が開発したiPS細胞誘導系は、現在多くの共同研究先で利用されており、様々な組織からのiPS細胞の樹立に成功しています(Nishimura, T. et al. 2013, Takayama, N. et al. 2010)。

そこで我々は、このように非常に効率良くiPS細胞を誘導することが可能なiPS細胞誘導方法を利用して、細胞の初期化の分子メカニズムを明らかにし、その知見を元に、より安全で高品質なiPS細胞を効率良く誘導する方法の確立を試みています。また、持続発現型RNAベクターの特長を利用して、iPS細胞等から安全な分化組織を効率良く誘導する系の構築も行うことによって、iPS細胞の樹立から分化組織の取得までの一連の流れについて、再生医療の実用化に向けて大きく前進させることを目指しています。

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研究テーマ

---iPS細胞誘導の初期段階での転写制御機構の解析

---iPS細胞の品質とエピジェネティクス制御機構の解析

---持続発現型RNAベクターを用いた実用的な分化制御方法の開発

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研究業績

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