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武者修行型学修とは


 平成17年度中教審答申「新時代の大学院教育」の中で、国際的に魅力ある大学院教育を構築する必要性が謳われ、
そのために必要な方策として、大学院教育の実質化と国際的な通用性、信頼性の向上があげられました。もちろんこ
れらの条件が魅力ある大学院教育に必要であることに私達も異論はありません。筑波大学大学院医学系専攻も人材養
成の目的の設定、カリキュラムの再編、評価基準を含むシラバスの作成、学位審査方法・審査基準の策定などを実施
し、FD活動やホームページでの公開を通じてその周知徹底に努めています。しかし、このような方針で大学院改革を
進めれば魅力ある大学院となり、「研究をデザイン・マネジメントできない」とか「コミュニケーション能力が乏し
い」といった博士課程修了者に対する批判に答えられる逞しい博士を育成できるかということについては疑問を感じ
ざるをえず、私達は独自の教育方針である「武者修行型学修」の必要性・有効性を唱え、これを推進してきました。
武者修行型学修は、学生の企画・申請に基づいて行われます。競争的な支援を受けることが決まった学生は、主に海
外に短期渡航してミニプロジェクトを実施します。2005年度以降、私達はベトナムのホーチミン市にある自然科学
大学と医科薬科大学との間で連携協定を結んでおり、ホーチミン市で武者修行プロジェクトを実施する学生が多いの
ですが、多くの採択された学生は、渡航費・滞在費とともにベトナム人学生のメールアドレスをもらい、自分が何を
やりたいか、そのためにどのような手助けが必要かを交渉し、ベトナム人学生とともにプロジェクトを実施し、帰国
後報告を行うことになります。自分で何かをやろうと企画し、競争的な資金を獲得すべく申請書を作成し、英語で交
渉しながら企画を実行する過程には多くの困難を伴います。また、自分ひとりで異国の地で何かをしようとしても自
分だけでは全く無力で現地の学生の手助けがないと何もできないということを実体験します。そうして自分だけでは
できない困難な仕事をカタコトの英語で交渉しながら仲間と一緒に成し遂げたという強い満足感と自信を得ます。過
去5年間でおよそ100名の学生を海外武者修行に送りだしましたが、武者修行プロジェクトに関わっている多くの職
員や教員が、ベトナムに行ってきた学生は目の輝きが変わると言います。家で食事を待っていた子供が、食材を得る
ために狩りにでて逞しくなって帰ってきたのを目の当たりにするようなものだと理解しています。そして、これこそ
が近年の教育が失ってしまっていたひとを育てる大切な要素だったのではないかと考えます。もちろん学位論文の研
究を進めることは困難の連続なのですが、この海外武者修行学修は、学位論文研究とは異なった教育効果を持つこと
が示されています。