研究・業績

臨床研究グループ

肝・消化器

須磨崎 亮、田川 学、和田 宏来、酒井 愛子、今川 和生

筑波大学小児科教授の専門分野は肝・消化器が3代続いており、他にないユニークな臨床経験が蓄積されています。肝・消化器は外科系との連携が必要ですが、筑波大学小児科では小児外科と毎朝合同カンファランスを持っているためスムーズに情報がやりとりされています。

臨床研修・研究できる内容は以下の通りです。

新生児から青年期にかけてそれぞれの年齢層でみられる肝・消化器疾患の基本的診断と治療を学びます。乳児の黄疸には重篤な疾患が多く含まれますから、胆汁うっ滞の鑑別を進めながら栄養状態を改善するノウハウを学びます。ことに胆道閉鎖症は一般小児科医も知っておくべき緊急性のある疾患ですが、これをじかに学びます。重篤な肝疾患に対して最強の選択は血液浄化療法と肝移植ですが、他施設に依存することなく最後まで当院で行います。慢性の下痢を症候とする疾患には多様な疾患が含まれますが、鑑別して適切な薬物治療と栄養療法を行うことを学びます。これらの疾患に対する最強の選択は在宅TPNや腸切除などですが、すべてノウハウがあります。

疾患としては肝では胆道閉鎖症・先天性胆道拡張症・新生児肝炎・門脈体循環短絡を伴う血管腫・アラジール症候群・進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)・原発性硬化性胆管炎・これらに伴う門脈圧亢進症・自己免疫性肝炎・C型およびB型慢性肝炎などに接する機会があります。消化管では近年増加して来た潰瘍性大腸炎・クローン病は一般小児科医でも知っておきたい疾患です。また乳児難治性下痢症、膵外分泌機能不全などに接する機会があります。あわせて特発性関節炎、SLEなど各種の膠原病も診られます。

研究としては、これらの疾患を対象に病態を解析することを行っています。胆道閉鎖症、PFICについては国立成育医療センターとも連携しながら研究を進めている所です。ぜひ私たちと勉強しましょう。

代謝・内分泌

小児の代謝内分泌学の診療・研究を行いたい研修医・若手医師に対して以下のような研修内容を用意しています。

入院・外来患者さんを通じて下垂体・甲状腺・副腎・性腺疾患、糖尿病、肥満症、先天性代謝異常症の基本的な診断・治療を行えるよう指導します。ホルモン分泌刺激試験の手技を体得し、適切な判断が下せるようにします。ホルモン補充療法(インスリン、成長ホルモンなど)ホルモン抑制療法(抗甲状腺剤、LH-RHアナログ製剤など)を実際に実施できるようにします。生活習慣病である肥満症や2型糖尿病の生活指導を含めた包括的治療を行えるようにします。先天性代謝異常症に関しては、臨床的に簡便なスクリーニング法を修得し、さらに専門機関(ガスマス、酵素診断、遺伝子診断などのできる施設)と協力して確定診断に到達できる能力を身につけるようにします。

研究面に関しては、現在小児期におけるインスリン抵抗性に関する研究をアディポサイトカインやIGFBP-1の測定を通じて検討しています。特にSGA児では、新生児期からすでに将来のインスリン抵抗性獲得の危険因子を有しているものと推測しており、小児期から治療や予防をする必要性を実証しようと努めています。他に研究室では、代謝内分泌疾患の患者さんの遺伝子診断を精力的に行っており、先天性甲状腺機能低下症、下垂体機能低下症、骨系統疾患、家族性糖尿病でそれぞれの臓器発生に関連する遺伝子を解析しています。変異遺伝子が判明した場合、必要があれば遺伝子組み替えを行い、培養細胞を用いた発現実験まで実施しています。研修医には、実験を通じてDNA/RNA抽出、PCR、ダイレクトシークエンスの手技をマスターしてもらっています。

循環器

堀米 仁志、高橋 実穂、加藤 愛章、中村 昭宏、林 立申、野崎 良寛

小児内科循環器グループでは先天性心臓病を中心に、川崎病、心筋症などの後天性心疾患、不整脈など子供にみられる心臓病すべてを対象として最新の診療と臨床研究を行っています。その対象は胎児から成人に及び、内容も臨床面では心電図、心エコー、心臓核医学、心カテーテル検査(年間約100例)などを用いた血行動態評価に留まらず、カテーテルを用いた血管病変や不整脈の治療まで多岐にわたります。基礎研究面でも血管内皮機能・凝固線溶系指標の測定から遺伝子診断まで広範囲に及びます。現在の重点研究について以下に記します。

1)胎児不整脈の診断と治療
私たちは、全国に先駆けて臨床に取り入れた胎児心磁図診断法と胎児心エコーを組み合わせて総合的な胎児心臓病の診断を行っています。胎児心磁図法は超伝導技術を応用した母体にも胎児にもまったく害のない新しい方法で、NHK教育テレビの番組でも取り上げられました。心臓病の出生前診断に威力を発揮しています。最近では心筋イオンチャネルの遺伝子変異の検索を組み合わせることにより、さらに精度の高い胎児不整脈の診断・治療法が確立され、胎児・新生児の予後の改善にも貢献することが期待されています。

2)先天性心臓病の血管内皮膚機能、凝固・線溶・血小板系の検討
医学の進歩に伴って成人に達する先天性心臓病患者の数は増加の一途にあります。これらの患者さんのQOL向上のためには動脈硬化や血栓塞栓症などの合併症を予防することが重要ですが、その病態は複雑で確立された治療法はありません。私たちは産業技術総合研究所・年齢軸工学センターとの共同研究により、最新の分子生物学的手法を用いて先天性心臓病患者の凝固・線溶・血小板系の詳細な病態解明に取り組んでいます。

3)小児期メタボリックシンドロームの診断基準、管理指針の確立
成人に見られる生活習慣病の起源は小児期にあると考えられていますが、小児ではメタボリックシンドロームの概念すら十分に確立されていません。そこで、その診断基準と管理指針を確立すべく、幼児期から思春期の小児を対象としてアディポサイトカインを含めた生化学指標、凝固線溶系指標の測定、頚動脈エコーを用いた早期動脈硬化性病変の検出などを組み合わせたコホート研究をスタートさせました。これは平成18~20年度厚生労働省科学研究費・班研究(全国約10施設の共同研究)の一員として開始したものです。

新生児

宮園 弥生,齋藤 誠,藤山 聡,金井 雄,日高 大介,梶川 大悟

当院は平成17年に総合周産期母子医療センターに認定され、茨城県の周産期医療の中核を担っています。新生児グループは主にNICU(9床)、GCU(12床)、新生児室に入院する新生児の診療に当たっており、新病棟に移行後は増床が予定されています。

当グループの特徴は、小児科各グループ、小児外科、心臓血管外科、脳神経外科など多様な科と連携を取りながら診療し、未熟児だけでなく、非常に多彩な疾患に対して高度な集学的治療を行うことができることです。胎児診断される症例も多く、産婦人科と情報を共有しながら最適な分娩時期の決定に関わり、出生直後からの全身管理を通じて様々な疾患や治療技術を経験することができます。小児科専門医取得後に周産期(新生児)専門医を取得するための研修が可能な基幹施設にも指定されています。

また、新生児スタッフは全員新生児蘇生法のインストラクターライセンスを有しており、分娩機関のみならず、医学生や助産学生、救急救命士など周産期にかかわる人材すべてを対象に新生児蘇生法講習会を積極的に開催し、周産期医療の向上に貢献しています。

研究については、早産・低出生体重児における胎児発育やメタボリックシンドロームの関係について臨床研究を中心におこなっております。小児科代謝内分泌グループや遺伝学教室と協力して、メタボリックシンドロームに関係したホルモンの出生後の推移や遺伝学的な解析を行うことにより、その関係の解明について日々研究を重ねています。また、若手医師の育成のためのシミュレーション教育にも積極的に取り組んでいます。今後はさらに県内において茨城県立こども病院などと周産期共通データベースを構築し、単独施設ではできない、より規模の大きな臨床研究を行っていく予定です。

血液・腫瘍

福島 敬、小林 千恵、山口 玲子、福島 紘子、八牧 愉二、鈴木 涼子、穂坂 翔

各種病型に応じて、学内・学外との密接な連携による高度集学的治療、臨床試験(下記)を実施・開発中。医学部門にとどまらず、障害科学・心理学・教育学・社会科学(法学)・工学など、多岐にわたる領域の研究室と協力体制を構築。

筑波大学で実施中の遺伝子治療プロトコールである「同種造血幹細胞移植後の再発白血病に対するHSV-TK dlIの臨床研究」の準備・実現を推進し、世界初の小児例に施行し安全性を確認した。また附属病院中央検査部との協力によって、造血器腫瘍遺伝子異常スクリーニングと微小残存病変MRD追跡システム、ウイルス感染症モニタリングシステムを構築し、日々の診療に応用している。東京小児がん研究グループTCCSGなど多施設共同研究の院外検体を受け入れて、中央遺伝子診断施設として協力している。2006年に発足した日本神経芽腫スタディグループJNBSGでは、グループ事務局を担当し、運営に貢献している(小児外科と共同)。

血液・腫瘍グループ臨床研究実施状況(PDF 262KB)

神経・筋、小児精神

宮本 信也、大戸 達之、田中 竜太、榎園 崇、田中 磨衣

難治性てんかん、重症心身障害児、知的障害、奇形症候群、代謝性疾患(ミトコンドリア病など)、軽度発達障害児などの診断・治療を行っています。県南小児神経症例検討会やいばらき発達障害懇話会などを定期的に開催し、小児神経学の臨床研究・教育を積極的に行っています。

また研究面では、ヒトの染色体異常に基づく髄鞘形成不全の画像・病理診断やミエリン塩基性蛋白(MBP)に異常のあるシバラーマウスなどを用いて、髄鞘形成障害について研究しています。また、多くの脳形成障害児の臨床研究を行っています。

現在進行中の臨床研究
終了した臨床研究