筑波大学消化器外科

筑波大学消化器外科

研究紹介

手術用支援機器・画像処理開発研究グループ

手術用支援機器・画像処理開発研究グループ

近年、腹腔鏡やロボット支援手術などの鏡視下手術が普及し、今後も更なる増加が見込まれます。一方で、鏡視下手術の限られた視野やデバイスでは対応が困難な病態があることも事実であり、 特に他臓器浸潤を伴う高度進行癌症例や高難度肝胆膵領域手術、 緊急手術が必要な病態(消化管穿孔、腹腔内出血等)においては従来からの直視下(開胸・開腹)手術の役割は今後もなくなることはありません

主に取り組んでいる研究紹介

直視下手術用映像記録システム開発

鏡視下手術の直視下手術に対する圧倒的なアドバンテージは高精細な映像記録です。 鮮明な映像記録が残ることで、執刀医以外の全員が術野視覚情報を共有でき、手術後に映像を確認することで手術内容の検証や若手外科医の教育などへ活用することができます。
通常、直視下手術では手術室の天井あるいは三脚を用いてビデオカメラを設置しなければ映像記録を残すことはできませんが、 1台のカメラのみでは術者の頭や手などで視認すべき術野が覆い隠されて手術の一部が十分に記録できないという大きな問題点があります。
我々の研究グループではその難点を克服すべく、直視下手術用の新規映像記録システム「Surgical Arena 360 TM」の開発を進めています。

Surgical Arena 360TMのビジョン

①未来の外科教育の質の向上
②未来の直視下手術に安全性と質の均てん化をもたらす

本研究開発は「真の総合大学」である筑波大学の利を活かし、筑波大学計算科学教育センター、筑波大学サイバニクス研究センターと共同で取り組んでいます。
計算科学教育センターの画像情報研究室が有する自由視点映像生成技術を直視下手術の映像記録に応用することによって、見たい手術シーンを見たい角度から臨場感を持って視聴することが可能となり、 未来の外科教育の質が大幅に向上することが期待されます。
また、直視下手術の映像記録において、術者の頭や手に遮られない質の高い映像記録が可能となります。これらのデータを活用することによって、 鏡視下手術で急速に進歩している画像支援技術などのビッグデータやA.I.を用いた研究開発を、直視下手術にも展開することが可能となります。 未来の直視下手術にさらなる安全性や質の均てん化をもたらすことが私たちのビジョンです。