骨格筋幹細胞, 骨格筋再生、筋ジストロフィー、ダイレクトリプログラミング
骨格筋幹細胞は生体内で唯一、骨格筋組織を再生することができる組織幹細胞であり、筋ジストロフィーなどの難治性筋疾患への応用が期待されている一方でまだ生体内の骨格筋幹細胞を支える分子基盤の理解などが不十分な細胞です。さらに、骨格筋幹細胞の数やその機能は加齢や筋ジストロフィーなどで低下してしまうため、いかに生体内の再生能力を維持するか、その分子機構の解明とその幹細胞性の低下を防ぐストラテジーの開発が必要と考えられています。そこで骨格筋再生に関わる分子基盤の解明を主軸に再生医学に貢献すべく以下に示すような研究を展開しています。
骨格筋幹細胞の微小環境 (ニッシェ) と骨格筋幹細胞のHeterogeneity をキーワードに研究を進めています。骨格筋再生に骨格筋幹細胞は欠かせない存在ですが、単独ではその能力は最大限に発揮できません。人間社会と同じように周囲の細胞と共同して、幹細胞としての性質を維持すると考えられています。しかし、骨格筋組織内のどの細胞とどのような相互作用をすることが重要であるかの知見は乏しく、微小環境に関わる分子基盤の確立は骨格筋幹細胞の維持やさらには幹細胞移植医療を発展させる可能性があります。
近年のシングルセル解析の発展等によって、組織幹細胞は均一の集団ではなく、一つ一つに個性があり、異なった機能を持っている可能性が示唆されています。しかし、骨格筋幹細胞がなぜ非均質の集団であるのか?その生理的意義は何か?それぞれがどのような役割を持つかを解き明かしていきたいと考えています。
本分野のメンターである家田真樹教授は2010年に心筋ダイレクトリプログラミングに世界で初めて成功しました (Ieda et al. Cell. 2010). 家田ラボや他の大学と協力して、全く別の細胞から骨格筋幹細胞を作り出す方法の開発を行いたいと考えています。
心筋ダイレクトリプログラミングが開発されて以来、国内外でさまざまな研究が展開され、着実に臨床応用に近づいています。しかし一方で、さらに高効率なダイレクトリプログラミングの開発が必要とされています。ダイレクトリプログラミングに関する詳細な分子機構を明らかにすることで、高効率な心筋ダイレクトリプログラミング法の発展に貢献したいと考えています。
※準備中です。しばらくお待ちください。
藤田 諒 助教
研究室